頭痛・肩こりなど
不定愁訴
当院においても不正咬合の治療で来院した患者さんが治療前に訴えていた症状が治療の進行とともに症状が消失してくることを経験しています。これは咬み合せと全身症状が密接に関わっていることを示すもので。
特にこうした症状を訴えるひとには本来の正常な咬み合せに比較して、前後的、側方的、垂直的な問題を持っています。
ひとは一般に許容範囲というものがあります。こうした歪みやずれがあっても必ずしも症状を訴えることはありません。
また、一般に若年者ではこうした症状を訴えることは少ないように思われます。すなわち各部の組織の活性が高く、身体自身の柔軟性も大きいからだと考えられます。
しかしながらこうした許容範囲は年齢とともに徐々に小さくなってきます。特に成人以降はこうした症状が顕在化し、症状によっては内科、耳鼻科、整体などで受診することになります。
ところで私たちの下アゴは頭蓋から筋肉で吊り下がった状態にあります。この下アゴの動きが何らかの原因で自由な動きができなくなると周囲の筋肉は常に歪みが生じてきます。最も大切なことはこのアゴの動きが制約を受けないで自由な動きができることです。この制約を生じる原因のひとつが咬み合せです。本来よりも大きく前方、側方、垂直方向に咬み合せがずれてくると、アゴの動きは自由な動きができず、周囲の筋肉に負担をかけてきます。
私たちが毎日着ている洋服も適切なサイズが重要です。大き過ぎず小さ過ぎず、どちらに傾いても身体の動きの邪魔になります。咬み合せも同様です。
下アゴは上アゴという洋服の範囲の中で運動をしています。このとき、上アゴの歯並びや個々の歯の位置、傾斜などが下アゴの動きと密接に関係しています。 重要なことは下アゴが本来の自由な運動できることが最も重要なことなのです。 矯正治療はただ単に審美的な観点から歯を揃えているものではなくこうした大変重要な要素を含んでいます。


「肩コリ、頭痛の出やすい咬み合わせ」
このように咬み合わせが深くなるとアゴは自由な動きが制限され、場合によってはアゴの成長にまで影響を及ぼしてきます。
この結果、咬み合わせの時には常にアゴを後方に牽引する筋肉が働いてきます。こうした状態は、首や肩の周囲の筋肉に過剰な負担となり筋肉のコリ(緊張状態)となって現れてきます。
正常な咬み合わせ


このように咬み合わせが深くなるとアゴは自由な動きが制限され、場合によってはアゴの成長にまで影響を及ぼしてきます。
この結果、咬み合わせの時には常にアゴを後方に牽引する筋肉が働いてきます。こうした状態は、首や肩の周囲の筋肉に過剰な負担となり筋肉のコリ(緊張状態)となって現れてきます。


深い咬み合わせ
A


B


C


その結果、下顎後退症を示し強い肩コリを示す
こうした深い咬み合わせは下アゴの自由な動きを制限し、首や肩の強い筋肉のコリの原因となる 矯正治療により上の前歯の位置を前方に移動し、下アゴが後方に咬み込む状態を改善し、下アゴの自由な動きができる様な筋肉の活動パターンにする必要がある


アゴの筋肉(咀嚼筋)の筋の過緊張が頚部に負担を及ぼす
*矢印は筋肉の方向及び活動の強さを示している

なお、肩こり、頭痛等でお悩みの方のご相談は072-622-7172もしくは、
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ゴルフボール大の大きな肩の「コリこぶ」!
咬み合わせ
咬むという動作
不定愁訴とは
筋肉の凝り
咬み合わせが引き起こす歪み
目や耳の問題と咬み合わせ
アトピーと咬み合わせ
中学生も肩コリ
河野正司ほか:側頭部、頸部、肩部の運動筋および咀嚼時の疼痛、デンタルダイヤモンド増刊号「顎関節症こんな患者が来院したら」40-50、東京:デンタルダイヤモンド社、1993
佐藤康弘ほか:種々の咬合機能時に見られる胸鎖乳突筋の co-activationhの特徴について 顎機能 11:79-86、1993
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吉田恵一ほか:水平的咬合位の異常により招来した胸鎖乳突筋疼痛症例とその発症機構の一考察、補綴誌、35:特別号、111、1991
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